夏といえば花火。日本の花火は種類がたくさんありますが、もっとも日本人らしさを感じるのは線香花火ではないでしょうか?
派手さはありませんが、ささやかで儚い美しさには趣がありますよね。
そんな線香花火、昔のものと比べて今のもののほうが質が落ちていると思いませんか?
線香花火は昔のほうが長く燃えていた?
線香花火はわずか数十秒の間に「蕾」「牡丹」「松葉」「散り菊」という4つの異なる火花を楽しめる美しい花火です。
はじめは蕾から、牡丹のように一輪一輪華を咲かせ、
続いて大木の松葉のように勢いよく火花を散らし、
最後は散り菊のように余韻を残しつつ静かに消える。
まさに人間の一生を現しているようですね。
ちいさなちいさな火花の中に壮大なテーマが隠されている
素晴らしい線香花火ですが、
最近の線香花火はなんだか物足りない気がしませんか?
私は子供とよく手持ち花火をするのですが、
30代の自分の子供時代の線香花火と比べて、
今の線香花火は明らかに質が落ちている気がします。
火花が出始めたと思った途端、火玉が落ちたり、
数秒間、牡丹か松葉か分からない火花が散ったかと思えばすぐにポトっと消えたり…。
幼い頃と大人になってからでは新鮮味も時間の感覚も異なるので、
思い出補正だけで昔の花火のほうが美しく感じるのかな?
とも考えたのですが、
子供時代ですら感じた情緒のようなものを今の線香花火には全く感じないので、
やはりなにか違うのでは?と思い、線香花火事情について調べてみました。
昔主流だった国産の線香花火が絶滅の危機に瀕していた!
昔と今の線香花火の質が変わったのは事実のようです。
私が子供の頃(20~30年前)は国産の線香花火が広く流通していました。
しかし、現在は国産の線香花火の数が大きく減少し、主流は中国産のようです。
つまり今、私たちが楽しんでいる線香花火の殆どが中国産ということです。
現在日本で国産の線香花火を作っている会社はなんとたったの3社。
そのうちの一社の話によると手作業が多いことや、職人不足、職人の高齢化などさまざまな事情から、年間50万本ほどの生産で手いっぱいなんだそうです。
ではなぜ国産が減り中国産が増えたのかと言うと、
それはやはりコストが理由です。
中国産の線香花火ですと1本あたり2~4円程度なのに対し、
国産の物だと1本数十円~百円強。
質が落ちてもこれほどの価格差があるのなら、
多少の妥協はしかたないということでしょう。
そのおかげで花火のバラエティパックも
今ではワンコインでお釣りが来るほどお安く買えますから
なんだか皮肉なものです。
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国産線香花火と中国産線香花火の燃焼時間と質の違いが丸わかりの動画
日本では中国産の線香花火がすっかり定着しているので、
昔ながらの国産の線香花火の美しさを忘れてしまっている人も多いかもしれませんね。
そんな方にオススメの動画がコチラです。
はじめに中国産の線香花火、次に国産の線香花火の映像が流れます。
燃焼時間も火花の大きさも全く違います。
国産の線香花火はまさに「起承転結」という言葉かしっくりくる燃え方ですね。
このままでは線香花火がなくなる?!
昔ながらの線香花火が好きな日本人は多いでしょう。
現に、日本産の線香花火の人気は徐々に盛り返しているそうです。
しかし、最近主流の味気ない線香花火しか知らない子どもたちは
今の線香花火にどれほど魅力を感じているのでしょうか?
わが家でよく購入する花火のバラエティパックには、
炎の色が10色に変わるものや一分近く燃焼するもの、
火花が豪快に散るものなど派手な演出の花火が入っています。
子供は当然ながらこういった分かりやすく楽しい花火が大好きで、
線香花火は後回しです。
昔は”最後のお楽しみ”として残しておいた線香花火が、
今の子(少なくともうちの子)にとっては、
「他の花火がなくなったから、とりあえずこれやっとくか」的なポジションになっているんです。
そんな子どもたちが大人になり、
自分の子供と花火をやるときに、線香花火の立場はどのように変化しているのでしょうか?
今のままなら残念な未来しか待っていない気がします。
ということで、わが家は国産の線香花火派になろうと思います。
ホンモノの線香花火には日本の美が凝縮されています。
そんな本物の価値を子どもたちに伝えることは
大人にとって大切な役割ではないでしょうか。